プライダル・リミット
「リュウ。俺に言わせてくれ」
 ショウが割って入ってきた。
「ドラムは……カズ。お前だ」
「えっ!? 僕!?」
「やれるな?」
 カズは嬉しかった。あの3人と一緒にバンドをできることが、思い描いてきた夢が実現せんとしていることが。なにより、ショウがリュウを差し置いてまで言ってくれたことが、上京してからずっと行動を共にしてきたショウの口から聞けたことが、嬉しかった。
「で、でも僕なんか……」
 煮えきらないカズを焚きつけようとリュウが口を挟む。
「まだドラムやってんだってな? マキオに聞いたよ。お前をドラムにすることは3人で話し合って決めたんだ。自信持てよ、カズ」
「マキオさんが?」
 カズはマキオを見た。マキオは恥ずかしそうに笑ってみせた。
「マキオさ~ん!」
 カズは泣いてマキオに抱きついた。
「カズくん……よかったね」
 その様子を他の3人は笑顔で見守っていた。

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