プライダル・リミット
「“DOAR OF THE DRAGON”」
「ドアー・オブ・ザ・ドラゴン?」
リュウが繰り返した。
「ドラゴンの叫び。ドラゴンの“龍”と藤真竜の“竜”。“龍”と“リュウ”を掛けたわけだ」
ショウがさりげなく説明した。
「エアロスミスが99年から2000年にかけて行った来日公演のツアータイトル……。ロックだね」
ケイの豆知識。
「マキオ。お前いつのまに……?」
リュウが驚いた顔で訊いた。
「リュウがどんな音楽聴いてるのか気になってさ。いろいろ調べたり聴いてみたりしたんだ。ビートルズ、ストーンズ、ツェッペリン。ボンジョヴィ、ガンズ、ミスタービッグ。それとニルバーナにグリーンデイ。あと、泉谷しげるもね。中でも僕はエアロスミスが好きかな。特に“Dream On”はクールだね」
マキオは得意な顔で答えた。
「イカスぜマキオ! オマエ最高!」
リュウは喜びを体で表現すべくマキオを抱きしめた。
「ちょっ、リュウ! 気持ち悪いよ!」
「いいじゃねぇかよ! 今日くらい」
「なんかイヤラシイんですけど!」
2人の掛け合いにみんなが笑顔になった。ショウもケイもカズも笑っていた。リュウも笑っていた。マキオも釣られて笑った。
その様子を扉のガラス越しにカナが見ていた。クラブサンドを届けに来たのだが、4人の満悦な空間に入るのをためらっていた。カナは「クスッ」と一つ笑みをこぼしてそのまま引き返していった。
マキオはずっとこんな“なかま”が欲しかった。子供が親にオモチャをせがむように駄々をこねても手に入らない。けど気持ちはそんな感じだった。日常の疎ましさも煩わしさも忘れて、過去ではなく現在《いま》を笑い合い、未来を分かち合う。そんな時間を共有できる仲間に憧れていた。自分とは違う世界だと思っていた世界が今ここにある。ずっと続けばいいのに――マキオは心の底から願っていた。
「ドアー・オブ・ザ・ドラゴン?」
リュウが繰り返した。
「ドラゴンの叫び。ドラゴンの“龍”と藤真竜の“竜”。“龍”と“リュウ”を掛けたわけだ」
ショウがさりげなく説明した。
「エアロスミスが99年から2000年にかけて行った来日公演のツアータイトル……。ロックだね」
ケイの豆知識。
「マキオ。お前いつのまに……?」
リュウが驚いた顔で訊いた。
「リュウがどんな音楽聴いてるのか気になってさ。いろいろ調べたり聴いてみたりしたんだ。ビートルズ、ストーンズ、ツェッペリン。ボンジョヴィ、ガンズ、ミスタービッグ。それとニルバーナにグリーンデイ。あと、泉谷しげるもね。中でも僕はエアロスミスが好きかな。特に“Dream On”はクールだね」
マキオは得意な顔で答えた。
「イカスぜマキオ! オマエ最高!」
リュウは喜びを体で表現すべくマキオを抱きしめた。
「ちょっ、リュウ! 気持ち悪いよ!」
「いいじゃねぇかよ! 今日くらい」
「なんかイヤラシイんですけど!」
2人の掛け合いにみんなが笑顔になった。ショウもケイもカズも笑っていた。リュウも笑っていた。マキオも釣られて笑った。
その様子を扉のガラス越しにカナが見ていた。クラブサンドを届けに来たのだが、4人の満悦な空間に入るのをためらっていた。カナは「クスッ」と一つ笑みをこぼしてそのまま引き返していった。
マキオはずっとこんな“なかま”が欲しかった。子供が親にオモチャをせがむように駄々をこねても手に入らない。けど気持ちはそんな感じだった。日常の疎ましさも煩わしさも忘れて、過去ではなく現在《いま》を笑い合い、未来を分かち合う。そんな時間を共有できる仲間に憧れていた。自分とは違う世界だと思っていた世界が今ここにある。ずっと続けばいいのに――マキオは心の底から願っていた。