プライダル・リミット
「ほら、2人とも。明日はマキオちゃんの大事な日なのよ。前の日になってまでヘンなイザコザに巻き込まないでちょーだい」
 マダムの一声。ショウは何かを思い出したように、というよりは察したように掴んでいた手を放した。
「わりぃ。俺ちょっと用事あるから帰るわ」
「ショウ!」
 帰ろうとするショウをリュウは呼び止めた。
「これからデートなんだわ……。リンちゃんと」
「えっ?」
 マキオに思わず声が漏れた。
「ウソウソ」
 ショウは笑いながら店を出ていった。
「僕もそろそろ……」
 ケイがゆっくりと腰を上げた。
「ケイ! オマエもか!?」
「カート・コバーンのモノマネ練習しなくちゃ」
「ハァ!? 意味わかんねぇよ!」
「あのぅ、僕もこれからドラムスクールがあるんでぇ……」
 カズも申し訳なさそうに腰を上げた。
「カズ! オマエまで……」
「すいませんリュウさん。お先っス」
 ケイとカズはそそくさと店を出ていった。
「アイツら、揃いも揃って……」





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