プライダル・リミット
 リュウはカウンターの椅子に腰を掛けた。
「マスター。クリームソーダ」
「ヤケ酒のつもり?」
「うるせぇ」
 リュウがマキオの方を振り向く。
「マキオもこっち来て一緒に飲もうぜ」
「う、うん」
 マキオはリュウの左隣の椅子に腰を掛けた。
「マキオちゃんもクリームソーダでいいかしら?」
「あ、はい」
 クリームソーダを待つ間、無言の時間が流れる。リュウは何もしゃべろうとしない。マキオにはリュウが何か考え込んでいるようにも見えた。沈黙に耐えられなくなったマキオが思わず口を開く。
「リュ……」
「お待たせ」
 2人の目の前にクリームソーダが置かれた。リュウはアイスクリームを1口食べてからメロンソーダを2口飲むと、やっと重い口を開いた。
「なあ。マキオの父親ってどんな人?」
「えっ?」




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