プライダル・リミット
マキオは自宅へと続く商店街をうつむきながら歩いていた。高円寺駅近くの商店街を抜けた閑静な住宅街にそれはある。
ここまでどうやって来たのか覚えていない。ただ無意識が足を運ばせた。うつむいたのは別に人生の失敗がショックだったからじゃない。いつものことだ。顔を上げず、空を見上げることもない。もう何年も他人《ひと》の表情《かお》を見ていない。空の青さも太陽の眩しさも、人の温かさにも触れていない。だけど、人の目は異常に気になる。
(誰か僕を見て笑ってやしないか?)
マキオは歩きながら、今日のニュースを思い出していた。
(無差別殺人……殺されてもいい……今なら受け入れられる気がする……。それが運命だと……)
ここまでどうやって来たのか覚えていない。ただ無意識が足を運ばせた。うつむいたのは別に人生の失敗がショックだったからじゃない。いつものことだ。顔を上げず、空を見上げることもない。もう何年も他人《ひと》の表情《かお》を見ていない。空の青さも太陽の眩しさも、人の温かさにも触れていない。だけど、人の目は異常に気になる。
(誰か僕を見て笑ってやしないか?)
マキオは歩きながら、今日のニュースを思い出していた。
(無差別殺人……殺されてもいい……今なら受け入れられる気がする……。それが運命だと……)