プライダル・リミット

「お父さんから何か聞いてないかなぁ？」
「いえ。何も……」
「ごめぇん。そりゃそうだよね。だって君、自分の父親が殺されそうになったことも知らなかったんだもんね」
「……」
「元教え子に刺された元教師。それも殺したいほど憎んで……。しかもその元教師は今じゃ私立高校の理事長。マスコミが飛びつかないはずがないよね？　あるいは僕がリークすれば、ね。だから他のマスコミが嗅ぎつける前に知りたいんだよね、事件の真相を。僕にも生活があるからさぁ、協力してよ。お父さんと木嶋悟史の間に何があったのか、お父さんの過去について君が知ってること、なんでもいいからさぁ、教えてくれないかなぁ？」
「僕が知っているのは事件の事実であって真実までは知りません！　失礼します！」
　マキオが近藤を振り切ろうと門を開けて敷地に入り玄関のドアノブに手を掛けた時――
「藤真竜！」
　近藤の声にマキオの動きが止まる。