プライダル・リミット
恐怖を感じ始めたマキオは怯えながらも夢中で唱えた。
「刑法第222条――脅迫罪――生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する」
「アァん!? 何ワケわかんねぇこと言ってんだ! マジで殺すぞテメェ!!」
男がマキオの体を揺さぶった拍子にマキオのワイシャツの左胸ポケットからクシャクシャにされた受験票が落ちた。それでもマキオは必死で条文を唱え続けた。
「け、刑法第199条――殺人罪――ひ、人を殺した者は、し、しし死刑又は無期若しくは5年以上の懲役にしょ、処する!」
足元に落ちた紙屑に気づいた男はマキオを突き飛ばした。尻餅をついたマキオの目の前にあるその紙屑に男が手を伸ばした瞬間「殴られる」そう直感したマキオは思いっきり目を瞑って叫んだ。
「刑法第204条――傷害罪――人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金若しくは科料に処するぅ!!」
(……?……殴らない……のか?)
「刑法第222条――脅迫罪――生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する」
「アァん!? 何ワケわかんねぇこと言ってんだ! マジで殺すぞテメェ!!」
男がマキオの体を揺さぶった拍子にマキオのワイシャツの左胸ポケットからクシャクシャにされた受験票が落ちた。それでもマキオは必死で条文を唱え続けた。
「け、刑法第199条――殺人罪――ひ、人を殺した者は、し、しし死刑又は無期若しくは5年以上の懲役にしょ、処する!」
足元に落ちた紙屑に気づいた男はマキオを突き飛ばした。尻餅をついたマキオの目の前にあるその紙屑に男が手を伸ばした瞬間「殴られる」そう直感したマキオは思いっきり目を瞑って叫んだ。
「刑法第204条――傷害罪――人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金若しくは科料に処するぅ!!」
(……?……殴らない……のか?)