プライダル・リミット
そして辿り着いたあるサイト――
〈EMMA《エンマ》〉
そこでマキオが目にしたものは、皮肉と侮蔑、欲望と絶望、乱雑な言葉の羅列。人物に対する誹謗中傷と世間に対する不平不満。いやでも“犯”“殺”“死”の文字が視界に入る活字書体で描写された地獄絵図。学校裏サイトならぬ現実裏サイト。そこに理性も温もりもない。ただ本能と冷たさだけがあった。マキオは暗く重い空気に包まれ、嫌気を通り越して恐怖を覚えた。こんな人間が普段何食わぬ顔で街を歩いていると思うと身の毛がよだつ――。「ここはどこだ?」そう錯覚するほどの異空間。しかし、一方でリアル、それも一理――。
マキオは強く脈打つ鼓動を堪えながら犯人のものと思われる書き込みを探した。まずは事件が発生した日の付近から。画面をスクロールするたびに迫り来る不安と緊張――
「ない……」
マキオの緊張が少し和らいだ。
続いて新宿駅でリュウを目撃した日の付近を。時系列で表示されたリンク〈2009年2月〉をクリックし、スクロール――
「ない……」
とういうよりどれが犯人のものなのかがわからない。
最後に高円寺でリュウと接触した日の付近を。〈2008年11月〉をクリックし、スクロール――
「これか!?」
〈EMMA《エンマ》〉
そこでマキオが目にしたものは、皮肉と侮蔑、欲望と絶望、乱雑な言葉の羅列。人物に対する誹謗中傷と世間に対する不平不満。いやでも“犯”“殺”“死”の文字が視界に入る活字書体で描写された地獄絵図。学校裏サイトならぬ現実裏サイト。そこに理性も温もりもない。ただ本能と冷たさだけがあった。マキオは暗く重い空気に包まれ、嫌気を通り越して恐怖を覚えた。こんな人間が普段何食わぬ顔で街を歩いていると思うと身の毛がよだつ――。「ここはどこだ?」そう錯覚するほどの異空間。しかし、一方でリアル、それも一理――。
マキオは強く脈打つ鼓動を堪えながら犯人のものと思われる書き込みを探した。まずは事件が発生した日の付近から。画面をスクロールするたびに迫り来る不安と緊張――
「ない……」
マキオの緊張が少し和らいだ。
続いて新宿駅でリュウを目撃した日の付近を。時系列で表示されたリンク〈2009年2月〉をクリックし、スクロール――
「ない……」
とういうよりどれが犯人のものなのかがわからない。
最後に高円寺でリュウと接触した日の付近を。〈2008年11月〉をクリックし、スクロール――
「これか!?」