プライダル・リミット
「藤真竜をご存知ですよね?」
「もちろんだ。彼がいなかったら今頃私は……。それが私をかばったばかりに……」
「リュウは、藤真竜は僕の友達なんです」
「そうか……。それは藤真くんにもお前にも申し訳ないことをした。こんなことになってしまい、なんてお詫びしたらいいか……。本当に申し訳ない」 
「藤真竜とはどういう関係なんですか?」
「関係? 関係も何も会ったことすらない。それなのに見ず知らずの人間を助けられるなんて、勇気ある青年だよ彼は」
 期待はずれの回答。マキオは困惑していた。顔色一つ変えずに答える父に不審な点など見当たらない。しかし、「父さんは嘘をついている」マキオはそう思えて仕方がなかった。この直感が確信によるものなのか疑心によるものなのかは自身にもわからなかったが、それを自身の口から追及することもできなかった。
「そうですか……」
 マキオは最後の秘策を胸に書斎を後にした。
未完成の〝リュウのパズル〟のピースがまた一つ――。


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