プライダル・リミット
 リュウ、お元気ですか? そっちの世界はどうですか? リュウのことだからどこにいても歌ってるんだろうね。
 今日は報告したいことがあって会いに来ました……。合格したんだ、司法試験。僕は約束を守ったよ。
 リュウの夢は……きっとショウさん達が叶えてくれる。
「俺達はもう少しこのバンドを続けるよ」 
 ショウさんがそう言ってくれたんだ。
「スクリューだね」
 ケイさんはやっぱり意味がわからないや。
「リュウさんの分まで頑張りましょう!」
 カズくんも意気込んでる。
「言っとくけど、リュウのためなんかじゃねぇからな。勘違いするなよ。せっかくケイとカズとバンドできるようになったんだ。それをこんなところで終わりにしてたまっかよ。アイツがいなくたって俺達はヤレルってことを見せてやる。リュウが羨ましがるくらいビッグになってやるんだ。天国に届くくらいビッグに……」
 なんてショウさんは強がってたけど、ドアー・オブ・ザ・ドラゴンの名前はそのままにしてあるんだ。バンドは3人になってスライダーズジャイロの頃に戻ったけど、リュウが座ってたドラムの椅子には今、カズくんが座ってる。リュウの夢はちゃんと受け継がれているよ。
「レイのためにも……」
 ショウさんは今でもレイさんに会いに行っているらしい。カズくん言ってたよ。
「姉さんはそろそろ気づいてもいい頃だと思うんです……。今まで自分のそばにいてくれた人が誰なのか。これからも自分を支えてくれる人が誰なのか……」
 いいよね? リュウ。ショウさんなら安心してレイさんのこと任せられるよね。



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