プライダル・リミット
 それでも、リュウはいろんなことを教えてくれた。いろんなものを与えてくれた。凍てついた僕の心を溶かしてくれた。そこにある温かい感情に導いてくれた。たくさんの人達に出会わせてくれた。そして僕は人と心を通わせる喜びを知った。リュウとの出会いが縁を繋ぎ、円を描いたんだ。
 僕は忘れない。リュウと過ごした日々を、かけがえのない大切な思い出を、僕はこの1年を一生忘れない。リュウがくれたすべてのものを糧に、僕はこれからも生きてゆく。見ててくれ、僕の生きる道を……。
 そして、心から言うよ。

「ありがとう」
 マキオはリュウに感謝の言葉を告げて墓前を後にした。

 ラストチャンスを掴んだのは、僕の方だった――。

< 202 / 204 >

この作品をシェア

pagetop