プライダル・リミット
“カランカラ~ン”
「いらっしゃあい。あら、リュウちゃんじゃないの。久し振りねぇ。今までどこで浮気してたのかしら?」
「そりゃあイイ女はそこら中にいるからね」
「まあ、相変わらず男前ね。そちらのカワイイ坊やはお友達? 珍しいわねぇ、リュウちゃんがお友達を連れてくるなんて。ていうか初めてじゃないかしら?」
女口調で濃い目の化粧をした、明らかに男が出迎えた。
「そうだっけ? そんなことより紹介するよ。こいつは“タマゴ”。弁護士の卵だからタマゴ。かわいがってあげてよ。マスター」
「もう、何回言えばわかるのよ。アタシはマスターじゃなくてマダムよ。マ・ダ・ム。心は女なんですからね」
「ごめんごめん。ちっちゃいことは気にすんなって」
「全然小さいことじゃないわよ! 乙女心が傷つくわ。まったくもう……。よろしくね、タマゴちゃん」
(うわぁ。これがオカマか。初めて見た)
マキオは初めて目にする女装の男を前に、自分が“タマゴ”と紹介されたことに言い返すこともせず凍りついた。
「オイ! マスターがよろしくってさ」
男の呼び掛けにマキオは我に帰った。
「あっ、よ、よろしくお願いします」
「なんかこのコ、アタシのこと見てビックリしちゃったみたいね。言っとくけどアタシはオカマじゃなくてニューハーフですからね。そこのところ間違えないでよ」
「は、はぁ」
(違うの?)
「マスター。とりあえずクリームソーダ2つね」
(選択の余地なしかよ)
「それといつものやつ作ってよ。クラブサンド。マダム特製の」
「はいはい。ホント調子いいんだから」
マダムはいつもの口八丁だと半ば呆れながらも調理に取り掛かった。
「いらっしゃあい。あら、リュウちゃんじゃないの。久し振りねぇ。今までどこで浮気してたのかしら?」
「そりゃあイイ女はそこら中にいるからね」
「まあ、相変わらず男前ね。そちらのカワイイ坊やはお友達? 珍しいわねぇ、リュウちゃんがお友達を連れてくるなんて。ていうか初めてじゃないかしら?」
女口調で濃い目の化粧をした、明らかに男が出迎えた。
「そうだっけ? そんなことより紹介するよ。こいつは“タマゴ”。弁護士の卵だからタマゴ。かわいがってあげてよ。マスター」
「もう、何回言えばわかるのよ。アタシはマスターじゃなくてマダムよ。マ・ダ・ム。心は女なんですからね」
「ごめんごめん。ちっちゃいことは気にすんなって」
「全然小さいことじゃないわよ! 乙女心が傷つくわ。まったくもう……。よろしくね、タマゴちゃん」
(うわぁ。これがオカマか。初めて見た)
マキオは初めて目にする女装の男を前に、自分が“タマゴ”と紹介されたことに言い返すこともせず凍りついた。
「オイ! マスターがよろしくってさ」
男の呼び掛けにマキオは我に帰った。
「あっ、よ、よろしくお願いします」
「なんかこのコ、アタシのこと見てビックリしちゃったみたいね。言っとくけどアタシはオカマじゃなくてニューハーフですからね。そこのところ間違えないでよ」
「は、はぁ」
(違うの?)
「マスター。とりあえずクリームソーダ2つね」
(選択の余地なしかよ)
「それといつものやつ作ってよ。クラブサンド。マダム特製の」
「はいはい。ホント調子いいんだから」
マダムはいつもの口八丁だと半ば呆れながらも調理に取り掛かった。