プライダル・リミット
「公平が部活動で勉強できなかった分、お前は勉強できているんだからこれくらいの点が取れて当たり前だ」
 そんな言葉を浴びせられるたびに、マキオは父に対する嫌悪感と疎ましさを覚えた。自分が何のために勉強しているのかさえわからなくなった。自分のため? 将来のため? 父のため? 今していることが社会でどれだけ役に立つのかなんて考えたこともない。そう、父のため。父に褒めてほしい。「よくやった」「頑張った」って言ってもらいたい。それだけなのに……。
「僕だって兄さんのように父さんの息子になりたいんだ」
 マキオはその思いだけで勉強に打ち込んだ。父に認めてもらうためにも学年トップの座を渡すわけにはいかなかった。最高学歴である東大に合格する必要がある、そう考えた。
「兄さんでさえ為し得なかった東京大学に」

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