プライダル・リミット

「ちょっとここいいかしら？」
「ど、どうぞ」
　マダムはマキオとテーブルを挟んだ向かいの椅子に座った。
「アナタ、リュウちゃんのお友達なんですって？」
「友達……なんですかね？」
「少なくともリュウちゃんはそう思ってるんじゃないかしら？　聞いちゃだめよ、そういうことは。友達の作り方まで教科書には載ってないわよ。真実《ほんとう》の友達に定義なんてないの。リュウちゃんも言ってなかったっけ？　フィーリングだって」
「ホントウの友達……？」
「そう。真実《ほんとう》の友達。あのコといればいずれわかるわよ。その本当の意味が。リュウちゃんには人を惹きつける何かがあるのよね。でも、それを理解するためには人の気持ちがわかる人間にならくちゃだめよ。心理を読むんじゃないの、感じるの。どうもアナタにはそれが足りないように見えるわね、マキオちゃん？」
（今まで僕に解らなかったことなんてなかったはずだ。その僕に足りないもの？　人の気持ち……感情論？　精神論？　机上の空論……そんなもの机上にさえなかった……。ってマキオちゃん？　今マキオちゃんって！）