プライダル・リミット
「どうして僕の名前を!?」
 マダムは笑みを浮かべた。
「聞いてるわよ、リュウちゃんからアナタのことは。リュウちゃんがお店に来るようになってからお友達の話をしたのなんて初めてだったから2人でお店に入ってきた時すぐにわかったわ。リュウちゃんね、アナタのこと自慢げに話してたわよ。東大に通いながら弁護士目指して頑張ってるヤツがいるって。この都会《まち》で夢に向かって頑張ってるヤツに出会えたんだって。うれしそうに」
「あの人が僕のことを……」
(僕のことを自慢げに? 嬉しそうに? 今まで誰かの自慢になったことなんてあっただろうか? 否。父さんの自慢はいつも兄さんだった。それなのにアイツは……。なんだろう? なぜか嫌な気がしないのは。そしてこの罪悪感は……。僕は人から自慢されるほど頑張っているのだろうか? 胸を張って夢を語れる人間なのだろうか?)

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