プライダル・リミット
マキオが文武両道を掲げる父の教育方針の下でさえ、苦手な運動を疎かにしたのには理由があった。中学生の時、そのことに気づいたマキオは一つの仮説を立ててみた。
「学業成績と同じくらい内申成績が重視されると言われていても結局、評価されるのはテストの点数、それが順位として表れる。高得点、高順位でいれば上位高校、上位大学に行ける。目に見えない、順位に影響しない点数のために尽力するのは無意味だ。世の中、学歴がすべてじゃないなんて所詮奇麗事。学習指導要領を改正したって、それを立案し、監督、指揮する大人は詰め込み教育、管理教育、受験戦争の中で学歴社会を生きてきた連中だ。そんな奴等に学校教育の抜本的改革を望んだって無理な話。この学歴社会から抜け出せるわけがない。表向きの学習指導要領は、ゆとり教育以前の親世代とゆとり教育以後の子世代の間に生じる教育に対する矛盾と歪みの温床だ。そんなおざなりの決まり事に賛同し、批判する国民……。どちらにしたって従わざるを得ないのが国家社会。僕は下級階層を従わせる上級階層の人間だ。この知性はそのためにある。僕は選ばれた人間なんだ」
「学業成績と同じくらい内申成績が重視されると言われていても結局、評価されるのはテストの点数、それが順位として表れる。高得点、高順位でいれば上位高校、上位大学に行ける。目に見えない、順位に影響しない点数のために尽力するのは無意味だ。世の中、学歴がすべてじゃないなんて所詮奇麗事。学習指導要領を改正したって、それを立案し、監督、指揮する大人は詰め込み教育、管理教育、受験戦争の中で学歴社会を生きてきた連中だ。そんな奴等に学校教育の抜本的改革を望んだって無理な話。この学歴社会から抜け出せるわけがない。表向きの学習指導要領は、ゆとり教育以前の親世代とゆとり教育以後の子世代の間に生じる教育に対する矛盾と歪みの温床だ。そんなおざなりの決まり事に賛同し、批判する国民……。どちらにしたって従わざるを得ないのが国家社会。僕は下級階層を従わせる上級階層の人間だ。この知性はそのためにある。僕は選ばれた人間なんだ」