プライダル・リミット
「いらっしゃいませ」
 マキオが座るテーブルにお冷が2つ置かれた。視線を上げるとそこに立っていたのは1人のウエイトレス。
「!!」
 前言撤回。ここに座っているのは一瞬にして心を奪われた1人の青年。
(カワイイ……)
 一目惚れってやつです。
 ウエイトレスは「ごゆっくり」と一言告げてキッチンに戻っていった。マキオは気が気じゃなくなった。
(何だ!? この拍動のスピードは……。緊張……してる……。アイツと会った時とは違う感覚……。どうしよう……収まらないよ……)
 マキオは意中の異性を目の前にした時の緊張感、その感情の根源がわからないまま困惑していた。いや、むしろ探ろうともしていなかった。もはや完全なる思考停止状態。「もう一度彼女の顔が見たい」そう思っても体が動かなかった。
 



< 51 / 204 >

この作品をシェア

pagetop