プライダル・リミット
「ムカツクッ!! あれじゃ彼氏なんかできるわけねぇんだよ! 男心っつーものがわかってねぇ。なあ、マキオ!」
「は、はは。そ、そうね」
 マキオは顔を引きつらせながらもとりあえず同調してあげた。そして、一つの疑惑。
(男心? リンちゃんのこと? リュウも僕と同じ感覚に……?)
 リュウはただマキオにリンとの時間を作ってあげたかった。マキオは反して自分が得た感覚を“恋”と表現することができないままリュウの真意を疑った。
「マスター。スタジオ借りるぜ」
「どうぞ。空いてるところ、テキトーに」
 マダムは慣れたように答えた。
「マキオ、ちょっと付き合え」
「えっ!?」
 マキオは「帰りたい」といった表情でマダムに訴えたが、「付き合ってあげて」と訴えるマダムの表情にマキオはリュウの心情を察することができた。
「う、うん」
 マキオは頷いた。




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