プライダル・リミット
 突然の告白にマキオはただただ驚いたが、その様子に気づいてもリュウは口調を変えずに続けた。
「物心ついた時から俺には親父がいなかった。離婚したのか死んだのかもわからない。あえて聞きもしなかったし、知る必要もないと思ったから……。それに、お袋の気持ちを考えたらやっぱり聞けなかった……。ガキのくせにな……。俺が小1の時にお袋が結婚して、その相手が連れて来たのが、まだ一歳で歩き始めたばかりのカナだった。子供心にすべてを理解したよ。これからこの人達と暮らすんだなって。家族になるんだなって。血の繋がらない父親と妹と、血の繋がらない息子と兄として……。でも、そんなこと忘れちまうくらい親父はいい人で、カナもお袋と俺になついてくれた。アイツは今でも俺達のことを本当の家族だと思ってるし、俺もそう思ってる……。それでも、アイツが真実を知る日がいつかは来ることを覚悟はしてきた。もうそう遠くはないだろうと覚悟はしているつもりだ……けど……その時に、カナが本当の兄妹じゃないと知った時に、俺はなんて言えばいいんだろう……。どんな顔をすればいいんだろう……」
「……」



< 71 / 204 >

この作品をシェア

pagetop