プライダル・リミット
「マキオ! マキオじゃねぇか」
「あ、相沢……くん!?」
 声のする方に視線をやると、前から3人組の男達がやってきた。マキオがすぐに視線を下に逸らしたことにリュウは気づいた。
「久し振りじゃねぇか。相変わらず冴えねぇツラしてんなぁ。でも安心したよ。生きててくれて。自殺でもされてたらかなわねぇからな。さすがの僕でも良心痛んじゃうよ。ハハハッ」
「……」
「あれぇ? そちらのお方はもしかしてボディーガードですかぁ? アンタ、いくらで雇われたの? そんな金があるんならまた僕達に恵んでくれよ、マキオくん」
「と、友達です」
「は!? 友達? オマエに友達なんかできるわけねぇだろ! せいぜいフィギュアがお友達だろ? どんなエリート街道歩んでるのかと思ったらこんな頭の悪そうな奴がお友達とはがっかりだな。万年学年トップの御手洗真樹夫も落ちたもんだ」
「リュウは……リュウは僕の友達だ!」
 マキオの精一杯の主張にリュウは3人を睨みつけながら静かに口を開いた。
「だとよ。わかったらとっとと消えろ」
 その口調は逆に迫力を漂わせ、3人を一瞬たじろがせた。
「い、行こうぜ。またな、マキオ」
 足早に去っていく3人を、リュウは振り向いて目で追い続けた。3人が途中で左の路地に曲がったことを確認すると、リュウはマキオに視線を戻した。マキオは下を向いたままだった。



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