好きだよ。
「死んじゃった……んだ、俺」



なぜか、頬が緩んだ。


多分、やりきったから。


伝えたかったことを、伝えることができたから。


……大好きな人に。



「あゆみ、あゆみっ……!!」


緩んだ頬に、暖かな涙が何粒も転がった。


本当に、大好きだった。


その気持ちに気づいてから、10年。


ずっとずっと揺るがなかった。





「ねぇあゆみ?……足を怪我したとき、あゆみ、俺を抱きしめたでしょ?あの時ね、俺本当にドキドキしたんだから!」



今度会ったときは、俺が抱きしめてやる。

< 55 / 63 >

この作品をシェア

pagetop