聖夜の奇跡
「帰ろ。」
このままじゃ、補導の対象になってしまう。
私は冷えきった体でベンチから立ち上がった。
「あれ?」
その時、私の方へ向かって一組のカップルが歩いてきた。
そして、私の前で止まると男の方が口を開いた。
「久しぶりだな。」
そう、私の元彼だ。
「うん、久しぶり……。」
うまく言葉が出て来ない。
「何してんの?」
「……人待ち。」
「でも、来なかったんだ?」
「関係ないでしょ。」
私は冷たくそう言って、その場を後にしようとしたとき、元彼の彼女が声を発した。
夏祭りの時とは、違う女の子だ。
「あなた、何人目〜?」
「……え?」