聖夜の奇跡
04 聖夜の奇跡
振り向くと、そこには傘をさした彼が立っていた。
「あなたは───…。」
「傘、今日はあるのにささないんですか?」
彼はにっこりと笑って手を差し出した。
私はその手をとり、立ち上がる。
「お久しぶりですね。」
やっと、やっと会えたんだね。
私がずっと会いたかった彼に。
夢みたい。
「あの時は、ありがとうございました。」
言いたいことはたくさんあった。
だけど口からはありきたりな言葉しか出てこない。
「何か、あったんでしょう?」
不思議だ。
彼がそう言うと、また涙が溢れてきた。
「そのままでは風邪をひきます。」
彼はそう言って自分のコートを私にかけてくれた。