聖夜の奇跡
「えっ……?」
私が聞き返そうとすると彼は遮るように口を開いた。
「開けていいかな?」
「え、あ……はい!どうぞ。」
私がそう言うと、彼は包みを開けた。
中から出てきたのは小さなクッキーだった。
「あ、ちゃんと作り直してるんで食べられます!お口に合うかどうか……。」
私がそう言うと、彼はそっと、クッキーを手にとり口に運んだ。
「うん、美味しいですよ。」
「良かった……。」
「ずっと、ここにいたんでしょう?これ以上は風邪をひいてしまいます。どこか暖かいとこに行きましょうか。」
「……どうして、分かったんですか?」
「さっき、手を掴んだ時、とても冷たかったですからね。」
とても気の利く人だ。
そう、思った。