聖夜の奇跡
歩き始めた彼の背中に向かって私は話しかける。
「待って!!」
「はい、何ですか?」
彼は振り向く。
言うんだ……。
この一年間の気持ち。
あなたへの想いを。
もう二度と会えないんじゃないか、言えば良かった……なんて後悔だけは、したくないから。
「その前に一個だけ。聞いて欲しいことがあるんです。」
「……というのは?」
「私、あの日からずっと……あなたの事が好きでした。あなたは、私のこと、どう思ってますか……?」
ようやく私はそう言うと彼は驚いた顔をし、すぐに先程までの笑顔に戻った。
「まだ、名前を聞いていませんでしたね。」