聖夜の奇跡
「名前……?」
「はい、名前です。教えていただけますか?」
何だか話を反らされた気分だ。
「松本美南。」
私が答えると彼は続けた。
「今日はクリスマスでしたね。誰にだって奇跡の訪れる日ですよ。」
彼は一度空を見上げてから言った。
「あの日、僕は偶然この道を通りました。普段はほとんど使わないこの道を。」
そうしたら、君がいました。
偶然と偶然が重なって今がある。
あの日君に会えたのは、そんな偶然が重なったから。
奇跡だよね。
奇跡が訪れたんだ、そう思いました。