聖夜の奇跡
そして思わず、傘を差し出していた。
僕もあの日からずっと君だけを考えていました。
「愛してます、美南。」
彼が笑顔でそう言った。
嬉しかった。
神様、奇跡ってほんとうに訪れるんだね。
「さ、冷たいでしょう?」
彼は手を差し出してくれた。
私は冷たくなった手で握りしめる。
そうして、彼と歩き出した。
ビニール傘に、雪が降り積もっていく。
街のクリスマスソングやイルミネーションが、まるで自分を祝福してくれているんじゃないかと思えてくる。
大好きだよ。
「ねえ、あなたの名前も教えてくれる?」