聖夜の奇跡
「あづーい。」
マナは下敷きでパタパタと扇ぎながら屋上に寝転んだ。
放課後。
部活もない私たちは、よくこうやって屋上で時間を費やしたりする。
「ねー、傘の彼ってどんな人なの?」
マナは携帯でメールを打ちながら私に聞いてくる。
私は空を見上げながら、
「んー、不思議な人。」
そう答えた。
「何それ。」
「たった一回だけ会った人なのに、ふとしたトキに想う人。」
「要するに?」
「特別な人。……ってとこ。」
パチン。
マナは携帯を閉じて私の方を向く。
「運命って、あると思う?」
「あるよ、絶対に。」
私はそう、確信を持ったように答えた。