聖夜の奇跡


「所詮、噂だから。」




マナは最後にそれだけ言って用事があるから……と帰っていった。




その噂の真偽を知るのは少しだけ先のこと。




私は、もやもやする気持ちを払いたくてまた、あの場所へと向かった。




彼に会えるかも。




やはりどこかそんな気持ちを私は抱いていた。




近くのベンチに、私は腰をおろした。




「私のことなんて、忘れちゃったかなぁ……?」




たった一回。
ただ傘を貸しただけ。


忘れて、当然なのかもしれない。




その時、マナからメールがきた。




【明日の夏祭り、一緒に行こうねっ!】




【いいよ♪】




私はすぐに返事をした。




「帰ろ。」



私は今日もまた、彼に会えないまま、その場所をあとにした。






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