伝えたいのは
「み…のり…」
俺が手をのばすと
…ビクっ!!
大きく動いた実の肩
「…ご…ごめんっ………っ…ちょっと、だ、け………まっ…て……」
泣いたうえに
寒さもあり、うまく
口が回らない実
……口が回らない理由は
泣いたとか寒さだけじゃない
きっとほとんどは
俺への、恐怖心だろう
俺がさっき実に
近づけた手を下に下ろしただけでも、実は俺の手に意識がいって、怯えるようにそれを見ていた
怯えてるくせに…
「…ちょっ…と、まって」
自分の腕を必死に摩って
震えを止めようと必死なんだ
無理して笑顔作ろうとして
その瞳からはまだ
涙がボロボロこぼれ落ちてるのに
―俺のこと責めないようにして。必死で自分作って。