伝えたいのは
残ったのは
俺と
実の手から落ちた
傘
ぽつりと道路に
横たわっている
さっきまでのみぞれは
もうすっかり
雨になっていた
はっきりと
幹也の心に
『後悔』という
雨を降らすかのように。
「…なんで、殴んねーんだよ」
本当は
責めて責め立てて
欲しかったんだ
平手打ちぐらいしてくれればよかったんだ
なのに
実は怒りのカケラもなく
必死に俺のこと
包みこもうとして
怒られなかったり
殴られない時の方が
苦しく感じる事がある
それは
あまりにも相手が
優し過ぎたりするから
素直になれない自分が
黒い感情を持ってる自分があまりにも
汚くて
醜くて