明日へと
「どう? お父さんとは上手くいってる?」

「どうだろ? なんか合わす顔無い感じで ろくに顔も見て無い」

「朝の挨拶くらいはしてるんでしょうねぇ? 口うるさい事言われるかもしれないけど それも生きてるうちだけなんだからね 人なんて いつ死んじゃうか分からないんだよ お墓の前に行って手合わせたって お母さんは 何も言ってくれないでしょ? 口うるさいのを幸せに思わなきゃ」

さすがお寺の娘
言う事が まるで説法
出会った頃は そんな彼女が神々しく見えてたし 今でも尊敬している
見た目や普段の言動は 普通のオネエチャンなんだけど

彼女は コーヒーを一口飲んで続けた

「今日は そんな話しに来たんじゃないの 私 妊婦さんになったの」

「おめでとう」

僕の中の素直な気持ちが言葉になって表れた

「で その報告?」

「産婦人科の帰りに ここ通ったら なんだか久しぶりにここの料理食べたくなってね」

僕達は 料理を注文して食べながら 彼女の結婚生活の事 僕の生活の事や 店長やバイト仲間は相変わらずだなど 色々な話をした

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