大好きって言ってよ

「ごめんね…美香ちゃん」

「あっ……」

何が、ごめんねかはよく分からなかった。

本当の親なのに……

本当の親子なのに……

上手く喋れない。

怖かったんだ。

「……すまない」

男の人がいきなり謝った。

「えっ…えっ…」

「すぐに迎えに行くつもりだった」

男の人は

淡々と話していった。

「でも…結局１８年間会うことはなかったな…」

男の人の表情は

悲しいものだった。

「いえ……」

「美香…キレイになったな…」

「ありがとうございます」

私は、涙をこぼしていた。

「美香ちゃん…！？」

「す…すみません…勝手に涙が…」

「いいよ。気が済むまで……」

男の人はそう言った。

２人は優しい。

でも、私を捨てた…親なんだ。

ただ話すだけで、こんなにももどかしい。

そして――――

気を使ってしまうんだ。

なぜ、涙が出たのか

分からない。

何が悲しくて

何が辛くて

泣いていたんだろう。





ただ１つ分かったこと……

もう優哉とは

兄妹という関係でしかない。