今夜、君のもとへ
第1夜
出会い
「ちょっと君!」
「へっ?私ですか?」
高校入学初日、うきうき気分で入学式場である体育館へ向かう私、彩本蓮は、先生に呼び止められてしまった。
「何ですか?」
「君、新入生だろう。なんだその制服の着方は。ボタンをきちんと上まで閉めなさい。スカートも巻いてるだろ。下ろしなさい。きちんとした格好で式に出なさい。」
げ。初日早々いきなりこれだよ(-_-;)
「すいませんっ!」
私は言われた通りに服装を正した。
めんどくさー…てゆうかださいっ!
これじゃまるで昭和の女学生じゃん…(泣)
「式が始まるまでもう少し時間はあるが、もう席についておきなさい。」
先生はそう言って行ってしまった。
生徒指導部の先生なのかな?
怖かったあー(>_<)
それより友達ちゃんと作れるかなあ…
ちょっと不安だけど頑張ろうっ☆
同じ中学から入学する友達がいない私は式の間中そんなことを考えいた。
あっという間に式が終わり、各自教室へ移動し、待機という指示が出された。
私の教室は1年A組…
「どこだろう…」
完全に迷った。
まじ泣きそうなんだけどっ(*_*)
「……っあのっ!!」
「わっ!!」
いきなり後ろから大きな声で話しかけられたせいで、私はビックリしてしまった。
「あっ!驚かせてごめんなさいっ…あの~…新入生だよね?」
後ろにいたのはショートカットで栗色の髪、同じような色の大きな目をパチパチさせながら少し緊張しているように見える小柄で可愛い女の子だった。
「いえ全然っ!こちらこそごめんなさい!新入生だよ。」
私は、悪気があって大きな声で話しかけたわけじゃない事がすぐわかったから、笑顔で応えた。
「よかったあ~っ!私、1年A組なんだけど教室分からなくて…」
私が笑顔だったのを見て安心したのか、その子も笑顔で話してくれた。
「私も1年A組だよ。一緒だね☆じゃあ協力してさがそうっ♪」
「そうなんだ!よかったあ。あのね、2階は全部見たんだけどなくて…」
「じゃあ3階か4階だね☆行こう!」
私達は3階へ向かった。