『はな』と『つぼみ』
「葉菜ちゃんと喧嘩でもしたのかい?」

ここは地元の駅前にある居酒屋。よく葉菜とも飲みに来ることもある。
だが、ここに来たのは間違いだと後悔した。

ここの店主の親父はよく言えば面倒見がよいのだが、今の俺にとってはお節介の他ならないのだ。

「あんな可愛い子は大事にしてやんなきゃ」

理屈ではわかってる。葉菜は俺にとっても大事にしてやらなきゃって思いがある。
だけど、俺は何故かそれに対して後ろ向きだ。それなのに誰かと一緒にいることを俺は拒まない。

そんな矛盾した自分にも苛立つ。

ここに来た目的は俺の苛立ちを抑制する為だったのに、逆効果になってしまった。

それよりも、体にアルコール分が入ったせいか、眠い。

俺は店を出て帰宅した。
< 9 / 13 >

この作品をシェア

pagetop