バスの中の恋
「そっかぁ。そうだったんだ。」



全てを聞いたゆきが笑いながら言った 



「ごめんね。隠してて…」


「なんで?仕方ないじゃん。『好き』っていう気持ち簡単に言えるわけないよ」


優しく、ゆきが笑いながらあたしを見る 



「本気で好きなんでしょ?その人」



はっきりそう言われてあたしは小さく頷く 



たぶん顔は真っ赤になってると思う 



「そっかぁ。
でも…良かった。呼び出されてちょっと不安だったんだ」





ゆきの台詞にあたしの頭の中は「?」でいっぱいになった 



「なんで不安だったの?」


「だって…」



さっきとは変わって、うつむき、小さな声で、


「だって…最近のさち変だったんだもん」



「えっ?」



「話し掛けても真面目に返してくれないし、
なんかうわの空だし…、
それに…… 昨日一緒に帰ったのに楽しそうじゃなかった…」




最後のほうはつぶやきのようで聞き取るのに苦労した


「なんだぁ、そんなこと?不安だったって」



あたしがバカにしたように言ったのでゆきは怒ったような顔で 



「『なんだ』は無いでしょ『なんだ』は!!
ひさびさだったんだよ!?一緒に帰ったの。」

< 12 / 39 >

この作品をシェア

pagetop