バスの中の恋
「ダメじゃん、慎悟〜」



ゆきが人差し指を振りながら、腰に手をあてて言った



「何が?」




「女の子の髪に気安く触ちゃダメだよ」



「は?なんで?」



「まったくわかんない」って顔してる



「だって『髪は女の命』って言うでしょ?
だから触っていいのは、彼氏と美容師だけなんだから」



当たり前でしょみたいな顔で熱演する 



慎悟は「う〜ん」って顔してこう言った



「そうかぁ?女同士でよく触ってるじゃん」



「それは同性でしょ?」



だからいいのって顔して言った 




呆れた。 



そんなの自分勝手な理屈初めて聞いたよ 



でも慎悟と紫音は「なるほどー」って顔して頷いた 



バカだなぁ、こいつら 



「ねぇ、それで誰と行ったの?」




「は?」



「紫音の聞いてたこと
誰と行ってたの?」



「ああ、先輩だよ」



「先輩?さちに一緒に髪切りに行くほど仲のいい先輩なんていたの?」



「失礼だねぇ、紫音は
もしかして部活の人?」



「うん。覚えてる?美央さん
ほら、よく遊んでもらったじゃん」



「ああ、美っちゃん?」



「そうそう!」



「へぇ〜まだ仲いいんだ」


< 24 / 39 >

この作品をシェア

pagetop