バスの中の恋

視線

バスに乗るとあたしはいつも後ろから2番目の席に座る。




そこがあたしの特等席




あたしは早いうちから乗るのでたいていは座れる



あの人が乗るのはあたしが乗って2つくらい停留所を過ぎてから




あの人はいつも右側の1人用のイスに座る。




そこがよく見えるのがあたしの席。




あたしはいつもあの人が乗ってきたら携帯をいじる振りをしてあの人を見つめる




ごくたまにだけど写メをとる




気付かれないか心配だけどいつも見るあの人は眠そうにしているから大丈夫(だと思う)




そんなことをしてあたしは朝の時間を過ごしている 



こんなことしてるのは誰にも秘密。 




だってみる人がみればちょっとしたプチストーカーみたいじゃない?




自分でも「怪しいなぁ」と思ってる




自覚はある。
でもやめられない、




やめたくない。
だって好きなんだもん




ずっと見ていても
飽きないくらい……


好き




今日もあの人をバスの中で見つめる




「今日もいつも通り眠そうだなぁ」



そんなこと考えていると



ドキッ 



今、目があった



「よう!はよっ!」



あの人はあたしの後ろに声をかけた



友達らしき人はあの人の後ろの席に座ったのを見た




「なーんだ友達に声かけたのか。」




ちょっと自意識過剰になり少し顔が熱くなった




その熱さがとれないままバスを降り、学校に向かった
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