W-Children
「あれ?」

地面に下ろしたその瞳に、引き寄せられるようにしゃがみこむ。

ごしゃ…っ

…背中でまたしても、何かが壊れる嫌ぁな音がしたが、これもまぁ無視だ。
いっそ、こんなアホほどの量・重量を誇る買い物なんぞ申し付ける方に無理があるのだ。
しかも、相手側は文句・反論・提案、その他諸々、受け入れ拒否ときている。

購入品の自重にての破損と言ってみようか。

そんなことを思いながら、大きな荷物の山に抱き込まれるようにして、捕らえて離さないつぶらな瞳を覗きこむ。

「お前の瞳は…珍しいね。」

片玉はルビー、もう片玉は少女と同じアンバー。

「オッドアイなんだ。」

怖くなるほど澄んだ瞳は、真っ直ぐに彼女の瞳を見つめ返し、その奥の本心さえ見透かすようで。
得も言えぬ感覚に、しかし懐かしさばかりが溢れる。

これが、運命の出会い、というヤツだろうか。

…相手は仔犬だが。

「ダメモトでお願いしてみようかな。」

悲観的結末を脳裏から叩きだして、目線を合わせるように真っ直ぐに見詰める。

実験材料にさせず、なお一緒にいる方法。

考えて考えて考えて。
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