W-Children



暗がり。
四方は石畳により封じられ、今が朝なのか夜なのかさえ定かではない。
頼りなく揺れる蝋燭に照らされ。
うっすらと人影が浮かぶ。
それも、全身を覆うローブにより輪郭ははっきりしない。

よどむ空気の中で、どこまでも支配するのは、汚濁したもの。
それは閉じ込められている空気のせいか、それとも正体不明の人影の放つ気配のせいか。
はたまた、別の理由かは誰も応えはしない。

揺らめく蝋燭が、口元を照らす。

深紅の、毒々しい唇は。
ほんの少し開くと、音にならない何かを紡ぎ。

小さく闇がほくそ笑んだ。
蝋燭が大きく揺らぎ、影が闇に沈む。

刹那、人影は掻き消えた。
もはや、何一つ形跡はなく。


そこに、揺らめく蝋燭以外、何を残すでもなかったけれど…。

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