W-Children

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空はどこまでも青く、初夏を迎えた風が爽やかに通り抜けていく。
新緑に包まれた丘は仄かな若草色に染まり、小さな花がそれを祝福するかのように、その咲き誇る花弁を揺らす。

蝶はその蜜を求めては、たまに会う同胞と挨拶がてらに歓喜を舞う。

まさに、生命の謳歌。
この世に生まれたことに歓喜し、感謝するに相応しい季節と言える。

…にも関わらず、およそそれらには似つかわしくないおどろおどろしい空気を、これでもかと垂れ流している物体があった。
まるでその一角のみ異世界の、否、魔界の陰気でも召喚したかのような異質さ。
いくら新緑に満ち満ちた新鮮なる空気に晒されようと、陰気に触れた瞬時に同類になってしまいそうな勢いだ。
それもそのはず。

「あんの、不良大人っロクデナシ師匠ぉ～っ！」

陰気を振り撒くその物体は心底怒り、人目もはばからず、力一杯の悪意を込めて叫ぶ。


それがただの怒り任せなら、さほど響かないのだろうが。

「うぅう…、悪魔…。」

魂からの絶叫だと、否が応にも分かってしまうから…哀れだ。