4748日後のクリスマス
「でも美菜ちゃんが元気そうでよかったわ」
おばさんは笑顔でそう言ってくれた。
すごくきれいな笑顔。
……あの日のキョーちゃんも、すごくきれいに笑っていた。
ふとキョーちゃんを見てみると、彼は話題に入ることもなく、黙々とご飯を食べていた。
「さて、そろそろ帰ろうかな。明日も仕事だし。
すごく美味しかったわ」
暫くしてご飯を食べ終えたおばさんは、そう言って立ち上がった。
キョーちゃん家は母子家庭というせいもあって、二人共働いている。
「あ、そうね。ごめんなさい忙しいのに来て頂いちゃって。ほら美菜、家まで送っていってあげて」
「は?」
いきなり何を言い出すの、お母さん。
大体、キョーちゃん家なんて歩いていると10秒くらいでしょ!
あたしが間抜けな声を出すと、お母さんは片足であたしの足を踏んだ。
「痛っ!」
「美菜?送っていってくれるわよねぇ?」
…もうこんな横暴なお母さんなんて、嫌だ……。
だけどあたしは逆らえるはずもなく、うん、と頷いた。