4748日後のクリスマス


「……ねぇ、キョーちゃん」


不意にあたしが声を掛けると、少し前を歩くキョーちゃんが立ち止まって振り向いた。


「んー?なに?」


ずっと、聞きたいことがあった。



………ねぇ、キョーちゃん。




あの約束、覚える?





「……んーん、なんでもない。
それよりキョーちゃん、変わってないねぇ」


でもあたしは聞くことはできず、代わりに出てきたのは、どうでもいい会話だった。




「だって半年も経ってねーもん。
そーだ、今年も俺ボーナス出たからなんか買ってあげる」


キョーちゃんは嬉しそうに笑った。


キョーちゃんは社会人になって、二年以上になる。


母子家庭のキョーちゃんは、進路を決めるとき、迷わず就職を選んだ。

それはきっと、おばさんの為だ。



「いーよ、あたしになんて。
それより貯金とかしたら?将来の為に」

「まーいんじゃね?将来とかわかんねーもん」

「なに言ってんの。将来結婚して、子供とかできたら困っちゃうよ」


しまった。

なに結婚とか言ってんだ自分。
完全に自爆だ。



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