4748日後のクリスマス
そう言って小夜子はまた、焼き肉に手を伸ばした。
まぁ、小夜子が忘れているくらいのことだから、大したことじゃないのだろう。
――それから、同窓会がお開きになったのは、数時間後のことだった。
「げ、もー11時過ぎてんじゃん。お母さんに連絡するの忘れてた…」
「え、てか一人で大丈夫?誰かに車で送ってもらえば?」
「いや、近いし大丈夫だよ!それじゃあね」
少し恐怖心はあるものの迷惑は掛けられず、あたしはそそくさと帰っていった。
「美菜」
暗い細道を通っていて急に声を掛けられたのは、歩き始めて少し経った頃。
「きょ、キョーちゃん…」
「やっぱり美菜だ。なにしてんのこんな時間に」
仕事帰りなのか、キョーちゃんは作業着姿だった。
キョーちゃんの姿を見て、一瞬で安心感に包まれた。
「同窓会に行ってて…。キョーちゃんは仕事帰り?」
「あー、うん。残業してた。
てか同窓会って、お前夜道歩くの無理だろ。気を付けろよ」
その言葉は少し強めな言い方だった。