4748日後のクリスマス


「……あ、俺だ」


キョーちゃんはそう言って携帯を手に取ると、すぐにその電話に出た。



「…もしもし、あ、斉藤さん。どーしたんですかこんな時間に。
え、明日?まー空いてますけど…」


電話の相手は職場の人だろうか。
キョーちゃんが敬語を使う所なんて、あまり見たことがなかった。
それもキョーちゃんが年上だからなのだけど。



キョーちゃんが電話中の間、あたしは特にすることもなく、ただキョーちゃんの隣を黙々と歩いていた。


誰の姿もなく静かな夜道の中、キョーちゃんの声と、電話越しに電話の相手の人の声が響いた。



『それじゃあ明日、またね』


電話からそう聞こえた。


―――それは、女の人の声だった。



「ごめんな、仕事の人からだった」


そう言いながらキョーちゃんは電話を切って携帯をしまった。


「……明日、仕事じゃないの?」

「明日?仕事だけど…
あ、もしかして電話聞こえてた?」


仕事なのに、明日空いてるって、どういうこと?



「明日の夜のことだよ。仕事の人と何人かで飲みに行くらしくて」





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