4748日後のクリスマス
…こらこら、大学生のバイトなんてアテにしちゃいけないのよ、杏菜ちゃん。
家賃に食費に…結局は仕送りばっかりなんだから。
『あ、そうだ。キョー兄ちゃん、ボーナス出たんだってー!
お姉ちゃん、なにか買ってもらったら?』
杏菜の何気ない一言に、あたしの心臓は、強く反応した。
「へ、へぇー。でも、あたしこっちに来てから全然会ってないしねぇ。
夏だってお盆くらいしか会えなかったから、気まずいよ。
それじゃあ、お母さん達によろしくね!」
そう言ってあたしは一方的に電話を切った。
…キョーちゃんは元気にしてるだろうか。
あたしは携帯を握り締めながら、静かに昔のことを思い出した。
『13年後の今日、もし美菜が来てくれるなら、この場所で会おう。
約束だから』
――ひらひらと雪が舞う中で、キョーちゃんはあたしに向かってそう言った。
それは13年前のクリスマスイヴのことで、そしてあたしの六回目の誕生日だった。