4748日後のクリスマス
……とりあえず、棚の上の段ボールをおろそう。
心の中でよしっと呟いて、あたしは背伸びをして段ボールに手を伸ばした。
――その時、
「わっ」
ゴン、と音をたてて、他の段ボールまで落ちてきた。
「げ、中身まで出てる…」
段ボールに付いていたガムテープが剥がれ、中身はかなり散乱していた。
……あれ、なんだろうこれ。
ふと視界に入ったのは、少し大きめの箱だった。
それを手にすると、『たからもの』と色褪せて薄くなった文字が記されていた。
……確かこれは、小さい頃の宝物箱だ。
箱を開けると、ピンクの袋で包まれた小さな物があった。
…もしかしてこれは。
ゆっくりと袋を開けるとそこには、小さな瓶に詰まった、光る石。
…幼稚園で流行っていた、願いの叶う石だ。
もちろんそれは嘘だったんだけど、その頃のあたしは純粋に信じていた。
そしてその頃のキョーちゃんは、丁度お父さんがいなくなってしまって悲しそうで。
だからあたしはキョーちゃんに、クリスマスにそれをプレゼントしようとしたんだ。
だけど、キョーちゃんはそれを受け取ってくれなかった。