4748日後のクリスマス
「…何で」
『なんか工場が建つとかでさ…すぐにあの公園、取り壊すって…』
…そんな。
あの公園がなくなったら、本当に残るものなんてなくなってしまう。
「ごめん小夜子、ありがとう!」
小夜子にそう告げて、携帯を閉じた。
そして咄嗟に机の上においてあったピンクのプレゼントを掴み、急いで家を出ていった。
道を全力で走って、坂道も全力で登った。
公園に着いたときにはもう、夜の11時はとっくに過ぎていて、ひらひらと雪が舞う程の極寒だった。
あたしは呼吸を調えながら、ゆっくりと公園に近付いた。
『立ち入り禁止』
そう書かれた看板を避けて、ロープをくぐった。
……ここに来たのは、何年振りになるだろうか。
ブランコも滑り台もすっかり錆びていて、それは今までの年月を表していた。
――この場所でキョーちゃんとたくさん遊んだ。
鬼ごっこもかくれんぼもいっぱいして、
たくさん笑ってたくさん泣いた。
そしてこの場所で約束をした。
この場所での思い出は、全部キョーちゃんと一緒だった。