4748日後のクリスマス


「…何で」

『なんか工場が建つとかでさ…すぐにあの公園、取り壊すって…』



…そんな。


あの公園がなくなったら、本当に残るものなんてなくなってしまう。




「ごめん小夜子、ありがとう!」


小夜子にそう告げて、携帯を閉じた。


そして咄嗟に机の上においてあったピンクのプレゼントを掴み、急いで家を出ていった。



道を全力で走って、坂道も全力で登った。











公園に着いたときにはもう、夜の11時はとっくに過ぎていて、ひらひらと雪が舞う程の極寒だった。


あたしは呼吸を調えながら、ゆっくりと公園に近付いた。



『立ち入り禁止』


そう書かれた看板を避けて、ロープをくぐった。


……ここに来たのは、何年振りになるだろうか。


ブランコも滑り台もすっかり錆びていて、それは今までの年月を表していた。




――この場所でキョーちゃんとたくさん遊んだ。



鬼ごっこもかくれんぼもいっぱいして、

たくさん笑ってたくさん泣いた。



そしてこの場所で約束をした。





この場所での思い出は、全部キョーちゃんと一緒だった。




< 26 / 73 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop