4748日後のクリスマス
4748日後のクリスマス
「…美菜」
「え?」
突然に声がした方を振り向くと、そこには寒いにも関わらず、薄着姿のキョーちゃんがいた。
「え、キョーちゃん、なんでここに…」
「馬鹿お前こんな時間に出歩いてんじゃねーよ馬鹿!
しかも立ち入り禁止んとこに入ってケガしたらどーすんだよ馬鹿!」
驚いてそう言ったあたしの声は、キョーちゃんの怒鳴り声で消されてしまった。
「三回も馬鹿なんて言わなくていーじゃん!
てか、本当になんでここに…」
「杏菜にお前が出かけたって聞いて…
もしかしたらって思ったんだよ」
…え?
それって、覚えてたってこと?
「キョーちゃん、覚えてたの?約束のこと」
「当たり前じゃん、俺が言ったことだし…。
だけど、夜中に来いなんて言ってねーし」
グシャグシャと頭をかいて目を反らすキョーちゃんに、あたしは苦笑い。
「もう忘れてるかと思ってた」
「それはこっちの台詞だっつの。美菜が県外行くなんて思ってなかった」
キョーちゃんはそう言って、ゆっくりとあたしに視線を合わせた。