4748日後のクリスマス
「あ、言うの忘れてたんだけどね、川瀬さんに夕飯にお呼ばれしてるのよ。
京平も行くんだから用意して」
そんな俺に母さんは、あっさりとそう言った。
「え、美菜ん家…?」
いや、帰ってくるなんて聞いてないし、美菜はまだいないはず。
焦ることなんて、何もない。
「ふふ、驚いて失礼のないようにね」
ただ、母さんの怪しい笑みが気になっていた。
―――それから数分後、隣にある見慣れた美菜の家に来たわけだけど。
「………ひ、久しぶり」
そこには、久しぶりに見た姿。
「……なんで……」
なんで、美菜がいるんだろうか。
急いで杏菜の方を振り向くと、杏菜は屈託のない笑顔で、
「ごめんねキョー兄ちゃん。お姉ちゃんが帰ってくるの、内緒にしてた」
隣の母さんも、子供のような笑顔を見せていた。
そういえばさっき、母さんは言っていた。
『驚いて失礼のないようにね』
……と。
成る程、今ならその意味がやっとわかった。
それならいつも以上に外見を気にしてたのも、あの言葉の意味も説明がつく。